(佐藤二朗 1、2、5、6話担当)
僕は俳優をやる一方で時々脚本も書いているんです。劇団ちからわざという自分の演劇ユニットの脚本や、監督した映画『memo』の脚本などを書いていまして、それを見てくださったプロデューサーの平部隆明さんに「一度ドラマの脚本を書いてみない?」というお話を前々から頂いていたんです。
ただ、ドラマの脚本は舞台や小バジェッドの映画と比べたら、制約が多くてとても大変と聞いていたので、僕にできるだろうか?と不安をもっていました。
ところが今回、筒井康隆さんの『家族八景』だと聞きまして、家の本棚の七割が筒井さんの作品だと言っても過言ではない僕ですから心が動きました。しかも平部さんが「筒井さんの世界と僕の書く台詞は合うんじゃないか?」と言ってくださったので、思い切ってやってみようと。
もちろん、好きだからうまくいくわけではなく、逆に好き過ぎてできないこともあります。でもいざやってみたら思いのほか楽しく書けました。
筒井さんにも見て頂いて、『無風地帯』の最後〈いつまでも家族サーカスをお続けなさい〉という小説の一節はとても大事なので残してください、というご要望以外はすべてOKを頂けたときはホッとしましたよ。
また大月俊倫プロデューサーは電車で読んでいて噴き出しそうになった、と言ってくださったと聞いたときも嬉しかったですね。
それで最初は毎回裸でいく予定でしたが、キャスティングが、とくに女優のキャスティングが困難になってしまうのでやむなく断念しました(笑)。
ちょうど脚本を書いているときに会う機会があったので「ここのとこ毎日のように木南のことを思ってるよ」と言ったら、頬を赤らめた、と思う。うん、そう思わせておいてくれ(笑)。
今回、脚本を書くにあたって、過去、七瀬が映像化された作品をすべて見たんですが、こんな七瀬、ないですよ!
先日、僕の書いた回に出演された俳優さんからも「大変だったけどおもしろかった」と言って頂きました。
今までやったことのないことを俳優にも強いる脚本なので悪戦苦闘しながらも、楽しんでやってくださったみたいです。
なので、ホント、たくさんの方にぜひ見て頂きたいです。
個性派俳優として活躍する一方で演劇や映画の脚本も手がける。
主な脚本執筆作品にドラマ『ケータイ刑事銭形シリーズ』『佐藤四姉妹』『恋する日曜日』、映画『memo』など。
自身の演劇ユニット劇団ちからわざの脚本も担当している。
毎日のように木南晴夏さんのことを思いながら書きました。
――『家族八景』の脚本を書くことになったいきさつを教えてください。僕は俳優をやる一方で時々脚本も書いているんです。劇団ちからわざという自分の演劇ユニットの脚本や、監督した映画『memo』の脚本などを書いていまして、それを見てくださったプロデューサーの平部隆明さんに「一度ドラマの脚本を書いてみない?」というお話を前々から頂いていたんです。
ただ、ドラマの脚本は舞台や小バジェッドの映画と比べたら、制約が多くてとても大変と聞いていたので、僕にできるだろうか?と不安をもっていました。
ところが今回、筒井康隆さんの『家族八景』だと聞きまして、家の本棚の七割が筒井さんの作品だと言っても過言ではない僕ですから心が動きました。しかも平部さんが「筒井さんの世界と僕の書く台詞は合うんじゃないか?」と言ってくださったので、思い切ってやってみようと。
もちろん、好きだからうまくいくわけではなく、逆に好き過ぎてできないこともあります。でもいざやってみたら思いのほか楽しく書けました。
筒井さんにも見て頂いて、『無風地帯』の最後〈いつまでも家族サーカスをお続けなさい〉という小説の一節はとても大事なので残してください、というご要望以外はすべてOKを頂けたときはホッとしましたよ。
また大月俊倫プロデューサーは電車で読んでいて噴き出しそうになった、と言ってくださったと聞いたときも嬉しかったですね。
――七瀬役の木南晴夏さんも演じていて笑ってしまうとおっしゃっている、心の台詞はどうやって思いつくのですか?
体調の悪い時ほどいいアイデアを思いつくことが多いです(笑)。――木南さんが相手の心の声を読むこと、読まれている時のビジュアルが変化することはどなたのアイデアですか?
それは堤幸彦監督です。脚本の初期段階の頃、夜中に監督から電話がかかってきて「裸になるのはどうだろう? それに声はみんな七瀬」って。なるほど!と。さすが映像界の革命児・堤幸彦だと唸りましたよ。そんなこと思いも寄らなかったですから。それで最初は毎回裸でいく予定でしたが、キャスティングが、とくに女優のキャスティングが困難になってしまうのでやむなく断念しました(笑)。
――木南さんが心の声を全部演じるというのもすごいアイデアです。
木南さんとは映画『20世紀少年』『犬飼さんちの犬』、ドラマ『勇者ヨシヒコと魔王の城』など、共演する機会がとても多いんです。とくに『ヨシヒコ』の時、女優にしては珍しくいろいろな声色や顔が自由にできる方だなと思ったので、今回も木南さんならやってくれるという信頼感と期待でかなり自由に書くことができました。ちょうど脚本を書いているときに会う機会があったので「ここのとこ毎日のように木南のことを思ってるよ」と言ったら、頬を赤らめた、と思う。うん、そう思わせておいてくれ(笑)。
――ご覧になる方にメッセージをお願いします。
今までにないものが見たければ見たまえ、と(笑)。ほんとにないですから。今回、脚本を書くにあたって、過去、七瀬が映像化された作品をすべて見たんですが、こんな七瀬、ないですよ!
先日、僕の書いた回に出演された俳優さんからも「大変だったけどおもしろかった」と言って頂きました。
今までやったことのないことを俳優にも強いる脚本なので悪戦苦闘しながらも、楽しんでやってくださったみたいです。
なので、ホント、たくさんの方にぜひ見て頂きたいです。
[プロフィール]
さとう・じろう Jiro Sato個性派俳優として活躍する一方で演劇や映画の脚本も手がける。
主な脚本執筆作品にドラマ『ケータイ刑事銭形シリーズ』『佐藤四姉妹』『恋する日曜日』、映画『memo』など。
自身の演劇ユニット劇団ちからわざの脚本も担当している。