幸か不幸か生まれながらのテレパシーをもって、目の前の人の心をすべて読みとってしまう可愛いお手伝いさんの七瀬――彼女は転々として移り住む八軒の住人の心にふと忍び寄ってマイホームの虚偽を抉り出す。 人間心理の深層に容赦なく光を当て、平凡な日常生活を営む小市民の猥雑な心の裏面を、コミカルな筆致で、ペーソスにまで昇華させた、恐ろしくも哀しい本である。 (※原作紹介文より引用) 定価515円 判型:新潮文庫 初版発行日:1975年3月3日 ISBN コード:978-4-10-117101-2 |
1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。
この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。
1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、
1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、
1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。
1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。
1997年、パゾリーニ賞受賞。
2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。
2002年、紫綬褒章受章。2010年、菊池寛賞受賞。
他に『家族八景』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』『アホの壁』『現代語裏辞典』など著書多数。
● 筒井康隆ホームページ http://www.jali.or.jp/tti/