脚本:佐藤二朗 演出:堤幸彦
尾形家は、家長・久国、妻・咲子、長女・叡子、長男・潤一の4人家族。この家に家政婦として雇われた七瀬は人の心が読めてしまう。それは、言葉だけではなく独特のビジョンになって映るのだが、形態は家族によって様々で、尾形家の場合は皆、裸だった。
そして彼らの心の中はセックスのことばかり。久国はクラブホステス節子と浮気していて、その節子はナイショで潤一ともつきあっていた。叡子は叡子で大学の先輩との交際に夢中。その中でひとり咲子だけが家事のことしか頭にないようだ。
一見平和そうに見せながら心の中はただれている尾形家の様子はまるで“家族サーカス”。見るに見かねた七瀬は、潤一の寝言を家族たちの前で暴露する。
「節子」、聞き覚えのある名前に久国の顔色が変わり、平和の均衡が崩れていく。
怒った潤一によって七瀬は泥棒の罪を着せられるが、その話を聞かされたはずの咲子は七瀬を責めることもなく穏便に次の仕事を紹介してくれるのだった。
相も変わらず家事のことを考え続けている咲子はもしや自分と同じ能力を持ち、それに気づかれないよう思考を遮断しているのではないか?
七瀬は咲子の心に問いかけるが、最後まで答は得られることはなかった。
尾形咲子(44歳)
久国の妻。心の中が極めて特殊な状態になっている。 |
尾形叡子(22歳)
長女。大学の軽音楽サークルに所属している。 |
尾形潤一(20歳)
長男。自分の顔がいいことを過剰に意識している。 |
尾形久国(50歳)
尾形家の家長。理解ある父親であろうとしているが……。 |
節子(28歳)
クラブホステスで久国の愛人。
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木田(24歳)
叡子の軽音楽サークルの先輩であり、彼氏でもある。
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