脚本:佐藤二朗 演出:白石達也
竹村家の家長・天洲は平日は会社に勤め、休日は家で絵を描いている「日曜画家」。かつては新聞の挿絵も描いたことがあったが、今はお金になる絵をまったく描いていないため、妻・登志を苛立たせていた。竹村家の心もようはお歯黒姿。ただ天洲の心の中だけは芸術家だけにとても特殊で、様々な図形で表されている。
これが才能なのだと七瀬は思う。ふと、自分のことだけは「雪」のイメージになっているのを見た七瀬は少し天洲に好感をもつ。
こうして日ごと七瀬は天洲への気持ちを募らせていく。七瀬は自分でも人を好きになれることに喜びを抱くのだった。
ある日、天洲の会社の若い女性・里子と美佐がアトリエ見学にやってきた。
見れば、美佐も図形にならない。実は天洲は里子にも美佐にも手を出していた。自分のものにして飽きたら捨てる。すると彼の中で女の姿は図形になる。天洲はそんなことを繰り返していたのだ。
「誰かを好きになるのは……辞めよう」そう決意して、七瀬は竹村家を後にした。
竹村天洲(52歳)
会社の課長として勤務しながら休日だけ絵を描く「日曜画家」。芸術家らしい不思議な思考形体を持っている。 |
竹村登志(45歳)
名家のプライドを持っている。夫がお金にならない絵を描いていることに苛立っている。
|
竹村克己(21歳)
竹村家長男。父に似ず即物的な思考の持ち主で七瀬をいやらしい目で見ている。 |